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インプラントは慎重に・・・
2020年01月09日
最近インプラント治療について相談を受けることが多いのですが、歯科医師として長期的な視野で説明する必要性を実感させられます。
確かに欠損補綴治療としてインプラント治療は確立されていますが、大きく分けて2つの問題点があると思います。
1.歯科医師側の問題点
① 以前は規定の講習を受けなければインプラント器材を購入できなかったのですが、現在は企業側がハードルを無くしたことで、歯科医師なら誰でも購入できるようになった(質の担保が失われた)。
② 客観的な術者(歯科医師)側のスキル(技量)が不透明になってしまった(技量のバラツキ)。
③ インプラント治療は自費治療であることから医療機関ごとに治療費や治療内容や保証が異なる。
④ 適応症、禁忌症、他の治療方法、について十分な説明が患者側にされているとは思えない(個人的な感想)。
⑤ 治療後の定期検査やメンテナンスなどフォローアップほとんがほとんどなされてない(個人的な感想)。
2.患者側の問題点
① インプラント治療は最善の方法であると誤った理解をしている(歯科医師側の説明不足が原因)。
② 治療後、何らかの自覚症状(不具合)が生じないと来院してもらえない(歯科医師側の説明不足が原因)。
③ 治療期間が長くなることを説明しても十分な理解が得られない(歯科医師側の説明不足が原因)。
④ 要介護状態になった場合、インプラントは最悪な異物になる可能性があることを理解してもらえない。
⑤ 治療した歯科医療機関でしかメンテナンスやフォローアップができないことを理解してもらえない。
ある介護付き有料老人ホームからの依頼で訪問歯科診療に行ったとき、インプラント治療を受けた入居者(利用者)さんが認知症で意思の疎通ができずに歯科治療および口腔ケアが困難で苦慮した事例がありました。
インプラント治療が確立されてから約20年以上経ちますが、高齢化に伴う要介護高齢者のインプラント難民が増加していることも目を背けられない事実です。
最後に、患者さんに安心安全なインプラント治療を提供するには歯科医師側の知識と経験とスキル(技量)に基づく十分な説明が必要不可欠であり、CT 撮影が可能なインプラント専門医の歯科医療機関で治療されることを勧めます(歯科口腔外科医としての経験に基づく個人的な意見です)。