医療安全対策

医療安全対策について

2014年05月15日

医療安全管理指針

1.基本的な考え方

  1. 当院における安全で良質な医療の提供と医療事故防止の徹底を図るため、本指針を定める。
    職員は、本指針に基づき、医療安全の確保を第一義に考え、日常業務を行うものとする。
  2. 医療提供にあたっては、「患者中心の医療」「安全を最優先する医療」の実践を基本とする。
    しかし、同時に、「事故はいつでも起こり得る」という前提に立ち、従業者個人の努力だけに依存することなく、事故を誘発しない環境、事故を未然に防ぐシステムを医療機関として整備することが必要である。
  3. 上記目的達成のため、本指針のほか、院内感染対策、医薬品安全管理、医療機器安全管理等の指針を定め、個別具体的な方策の累積により、医療安全管理体制を総合的に推進していく。
    なお、本指針における医療事故とは、当院の医療提供の全過程において発生した人身事故一切をいい、医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。

2. 医療安全管理のための体制

  1. 院長は、医療安全管理の責任者として、次の事務を行う。
  2. 医療安全管理指針の策定、点検、見直し
  3. 医療事故防止のための方策の実践、職員への周知徹底
  4. 職員研修の企画、開催
  5. 医療事故等に関する情報の収集と分析、防止対策についての検討
  6. 医療事故発生時の対応及び再発防止の改善策の立案、実行
  7. ヒヤリハット報告書の内容の分析、対応策の検討

3. 職員研修

  1. 研修は職員が医療安全管理の基本的な考え方を理解し、事故防止の具体的手法を習得することを目的に行う。
  2. 研修は院長等の講義、医療安全についての抄読会、外部の講習会への出席等の方法で行う。
  3. 研修は年2回程度開催する。 また、必要に応じて随時開催する。
  4. 研修を実施したときは、その概要(開催日時、出席者、研修事項等)を記録し2年間保存する。

4. 事故発生時の対応と再発防止策

  1. 医療事故発生時には、救命処置を最優先とし、直ちに必要とする救急処置を行う。
  2. 緊急時の対応に備え、平時より救急処置の研修とともに、救急医薬品、酸素ガスマスク等の整備を行う。
  3. 医療事故発生後は、当事者は「医療事故報告書」により速やかに院長に報告する。 ただし、緊急を要する場合は、口頭で報告し、その後文書による報告を行う。 医療事故報告書は、記載日の翌日から起算して5年間保管する。
  4. 患者・家族への対応
    • 患者に対しては誠心誠意治療に専念するとともに、患者及び家族に対しては、可及的速やかに事故状況、現在行っている措置、見通し等の説明を行う。
    • 患者及び家族に対する事故の説明等は、原則として院長が対応し、状況に応じて他の職員も同席する。
    • 隠さず、ごまかさず正確な情報を伝えることが必要であるが、同時に不要な不安を与えないように努める。
  5. 事実経過の記録
    • 院長は、患者及び事故の状況、処置の方法、患者及び家族への説明内容等を、診療録等に詳細に記載する。。
    • 記載は、初期対応が終了後、速やかに経時的に行う。
    • 想像や憶測に基づく記載を行わず、事実を客観的かつ正確に記載する。
  6. 再発防止策の立案
    • 院長は、医療事故報告書等に基づき、事故の原因分析を行い、再発防止のための方策を検討する。
    • 立案された事故防止策については、早急に実行する。
    • 隠さず、ごまかさず正確な情報を伝えることが必要であるが、同時に不要な不安を与えないように努める。

5. 患者からの相談・苦情受付体制

  1. 病状や治療内容等に関する患者からの問い合わせ・相談については、誠実に対応し、担当した者は院長に内容を報告する。
  2. 患者などから医療安全に関連する苦情・意見等が寄せられたときには、真摯に対応し施設の安全対策の見直しに活用する。

6. 本指針の閲覧、見直し

  1. 本指針は、患者の求めに応じ閲覧できるようにする。 また、指針に対する問い合わせには、院長が対応する。
  2. 本指針は必要に応じて見直すとともに、職員に周知徹底する。

院内感染対策指針

1.基本的な考え方

医療提供施設において、業務上の院内感染から外来患者、医療従事者を防御することは、医療安全にとり基本的重要事項である。 院内感染防止対策を全職員が把握し、安心、適切な医療の提供ができるよう、本指針を策定する。

2. 院内感染管理体制

  1. 院長は、院内感染防止対策として次の事務を行う
    • 院内感染対策指針及び感染防止マニュアルの作成、見直し
    • 院内感染防止の方策の実施と職員への周知
    • 職員研修の企画、開催
    • 院内感染防止に関する資料の収集と分析
    • 院内感染発生時の速やかな対応と感染原因の究明
  2. 院内感染防止の第1歩は、患者への十分な問診であり、患者から懇切丁寧に既往症等の聴取を行う。

3. 院内感染対策マニュアル

「院内感染対策マニュアル」を遵守し、手洗い、グローブの着用、器具・器材の消毒など感染対策に努める。

4. 職員研修

  1. 研修は職員が院内感染防止の基本的考え方を理解し、マニュアルに記載された手法を習得することを目的に開催する。
  2. 研修は院長等の講義、医療安全についての抄読会、外部の講習会への出席等の方法で行う。
  3. 研修は、年2回程度全職員を対象に開催する。 また、必要に応じて随時開催する。
  4. 研修を開催したときは、その概要(開催日時、出席者、研修事項等)を記録し2年間保存する。

5. 院内感染発生時の対応

  1. 院内感染を疑わせる事象に遭遇した場合には、速やかにその状況等を院長に報告する。
  2. 院長は、院内感染の可能性の有無を調査、判断する。 院内感染と認められた場合には、発生原因の究明とともに、早期収拾のため、迅速、適切に対応する。事後は改善策を立案、実行し、職員にも周知徹底を図る
  3. 感染症の発生の原因、状況、対応策等を、経時的に詳細に記録し、5年間保存する。

6. 患者への情報提供と説明

本指針は、患者又は家族が希望した場合閲覧できるようにする。

院内感染対策マニュアル

1.手指の消毒

  1. 個々の患者の治療前後には、薬用ハンドソープと流水による手洗いか、手指用消毒液(クロールヘキシジン等)による摩式消毒を行う。
  2. 使い捨て手袋を着用し治療を行う場合の前後も、同様に消毒をおこなう。

2. グローブの着用

  1. 血液・唾液には、直接触れないように作業することが原則であるが、血液・唾液に触れる可能性の高い作業をおこなうときには、使い捨てグローブを着用する。
  2. 使い捨てグローブの着用は、患者と医療従事者双方の安全を守るため有益であるが、グローブを着用した安心感から、汚染した手袋で治療用いすなどに触れないよう注意する。
  3. 使い捨てグローブは患者ごとの交換が原則である。 やむをえずくり返し使用する場合には、その都度消毒を行う。

3. 医療器具・器材の消毒等

  1. 耐熱性の診療用器具は、使用後グローブ着用のもとで、十分洗浄し、オートクレーブ、乾熱滅菌器等で滅菌を行う。
  2. 切削バー、リーマー、ファイルは、オートクレーブ等による滅菌を原則とするが、防錆剤を添加した消毒剤の使用も差し支えない。 消毒剤としては、消毒力の強い次亜塩素酸系、アドヒド系等を用い、30分以上浸漬する。
  3. 上記以外の器具は、グルタールアルデヒドに10~20分浸漬して消毒する。 また、歯ブラシ、フロスホルダーなどプラスチィク製品は、0.1%クロールヘキシジン液に30分以上浸漬後、水洗、乾燥させる。
  4. 注射針、メスなどは、ディスポーサブルのものを使用する。 使用後の針等の取り扱いは、特に注意を要し、針刺し・切創事故等を抑止する。
  5. 滅菌物の保管は、汚染が起こらないよう注意する。 汚染が認められたときは、廃棄、あるいは再滅菌する。 また、滅菌物使用の際は、安全保存期間(有効期限)を厳守する。
  6. エアータビン、スプレーの使用時には、顔に血液・唾液等の飛沫粒子を浴びることが多いため、確実なバキューム操作を行う。 ハイリスク患者については、防護メガネ、帽子又はフェースボード等を着用することが望ましい。

4. 医療施設の環境整備

  1. コップ、エプロンは、ディスポーサブルのものを使用する。
  2. ユニットやブラケットテーブルは、1日1回以上の水拭き清拭又は消毒薬(界面活性剤、逆性石鹸、エタノールなど)による清拭消毒を行う
  3. 床、テーブルなどは汚染除去を目的とした除塵清掃が必要であり、湿式清掃を行う。また、日常的に消毒薬を使用する必要は特にない。

5.医療廃棄物の処理

  1. 血液に汚染されたもの、注射針、カートリッジ及び替え刃などは、業者指定の指定容器に回収し、処理委託時には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を受領し5年間保管する。
  2. 現像液、定着液は、業者指定の容器にそれぞれ別に回収し、処理を委託する。

医薬品安全管理の指針

1.医薬品安全管理責任者の配置と業務

  1. 院長が医薬品安全管理責任者を兼務し明確な責任体制のもと医薬品の安全使用を推進する。
  2. 医薬品安全管理責任者の業務
    • 医薬品の業務手順書を作成するとともに、業務手順書に基づいて職員の医薬品取り扱い業務が適切に行われているかを定期的に確認する。 また、手順書は必要に応じ見直しを行う。
    • 院内における医薬品の使用・管理の改善方法についての検討及び提言。
    • 職員に対する医薬品の安全使用のための研修の実施。
    • 医薬品の安全管理のために必要となる情報の収集・管理。

2. 医薬品業務手順書

  1. 医薬品の採用・購入
    • 医薬品の採用にあたっては、効煤E効果、副作用、安全性等を考慮するとともに、類似薬品のとり間違え防止にも留意する。
    • 発注の際は、商品名、剤形、規格単位、数量、包装単位、メーカー名を指定する。
    • 納品時には、購入医薬品の品目・規格・数量が合致しているか、発注伝票に基づき検品する。
  2. 医薬品の管理方法
    • 医薬品は保管条件、使用期限等に注意するとともに、取り間違いや在庫点検にも配慮して適切に薬品棚等に陳列する。
    • 在庫医薬品については、定期的に在庫量、有効期限、使用期限及び薬品の紛失の有無等について確認を行う。
    • 規制医薬品(毒薬、劇薬)は、盗難・紛失防止のため施錠可能な棚等に保管する。
  3. 患者への医薬品の処方及び与薬
    • 医薬品の使用にあたって、患者の既往歴、体調、薬剤服用歴(既往、副作用、アレルギー)等について十分問診を行う。
    • 他科受診、他剤併用の有無を確認し、必要に応じ他の医療機関・薬局等と連携を図り、安全性を確認する。
    • 妊娠・授乳の有無に注意するとともに、小児にあっては年齢・体重等の確認を行う。
    • 処方の都度、患者の症状(前回投与後の経過、副作用の有無等)を確認し、処方内容に誤りがないか点検する。
    • 処方箋の場合には、必要事項(医薬品名、剤形、規格・単位、分量、用法、用量等)を正確に記載する。
    • 与薬にあたっては、患者氏名を確認し、薬剤の実物と薬剤情報提供文書を患者に示しながら効能効果、用法、容量、その他服用に当たっての注意事項を説明する。
    • 局所麻酔剤使用時には、全身状態の観察、管理とともに不具合発生時の対応の備えも行う。
  4. 医薬品の安全使用に係る情報の取扱い
    • 医薬品の添付文書、説明書等については、一元的に収集、管理し、必要に応じ速やかに閲読できるように保管する。
    • 厚生労働省、歯科医師会、製薬メーカーから発信される情報を収集し、副作用等の発生を抑制する。

医療機器安全管理の指針

1.医療機器安全管理責任者の配置と業務

  1. 院長が医療機器安全管理責任者を兼務し、明確な責任体系のもと全ての医療機器に係る安全管理体制を確保する。
  2. 医療機器安全管理責任者の業務
    • 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施。
    • 従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施。
    • 医療機器の安全使用のため、医療機器の添付文書、取扱説明書などの情報を整理し、必要に応じ速やかに閲読できるように一元的に管理する。
    • 医療機器の不具合情報や安全性に関わる情報等を製造販売業者等から収集し、得られた情報を担当者に適切に提供する。

2. 医療機器の安全使用のための研修

  1. 新たに医療機器を導入したとき又は職員を新規採用した場合には、当該機器取扱い者を対象として次に掲げる安全使用研修を行う。
    • 機器の有効性、安全性についての情報提供
    • 機器の適切な使用(操作)方法に関する技術研修
    • 保守点検の方法
    • 不具合等が発生した場合の対応方法
    • 使用に関して特に法令上遵守すべき事項(資格等)の説明
  2. 研修を実施した場合は、開催日(受講日)、出席者、研修項目、研修医療機器の名称、研修場所等を記録する。

3.医療機器の保守点検計画の策定、実施

  1. 医療機器の添付文書に記載された「保守点検に関する事項」及び業者からの情報を参考に保守点検計画を策定するとともに点検を実施する。
  2. 主な特定保守医療機器については機種別に保守点検計画を策定、実行し、その記録を「保守点検計画・記録票」(別紙)に記載し、保存する。
  3. 修理を依頼した場合には、故障箇所又は不具合の状態、修理内容、業者名、修理年月日等を記録・保存する。
  4. 保守点検を外部委託する場合にも、保守点検の記録を記載、保存する。